リウマチ・アレルギーシンポジウム Part2
10:00〜13:00
タイトル“SLEを早くから診断するためのこつ”

講演者: 橋本博史(順天堂大学膠原病内科)
卒業大学: 順天堂大学医学部卒業(昭和39年3月)
現職: 順天堂大学膠原病内科学講座 教授
順天堂大学付属順天堂越谷病院 院長(併任)
現在の研究テーマ: 膠原病・リウマチ、
特に全身性エリテマトーデスの成因と治療法

全身性エリテマトーデス(SLE)は、多臓器病変を伴う炎症性疾患で、経過中寛解と再燃を繰り返す原因不明の全身性自己免疫疾患である。約90%は女性で、20ー30歳代に好発するが、若年者や高齢者にも発症する。

1. 診断はSLEを疑うことから始まる
 全身倦怠感や体重減少などの全身症状と共に原因不明の発熱、移動性の関節痛、頬部(蝶形紅斑)・手指・爪床・足指・耳介部・前胸部などにみられる紅斑、レイノー現象、脱毛、口腔内潰瘍などを認めた場合にSLEを疑う。定型的な症状を伴っている場合には診断は容易であるが、非定型例・不全型では詳細な観察を必要とする。紫外線照射(日光過敏)、感冒様症状(ウイルス感染)、薬剤(薬剤過敏)等による誘因、腎炎や精神病、溶血性貧血などの先行する臓器病変の既往、習慣流産や子宮内胎児死亡などの既往(抗リン脂質抗体症候群の可能性)、家族歴における同胞内発症や他の自己免疫疾患発症の聴取を行う。

2. 診断に有用な臨床病態
 皮膚症状は診断に有用な情報をもたらすが、無疹型も存在する。紅斑は散在性の落屑を伴った斑点状丘疹や慢性の円板状紅斑であることもある。脱毛や皮膚潰瘍、口腔・鼻咽頭粘膜の潰瘍、レイノー現象等の有無にも留意する。関節痛(炎)は移動性のことが多い。最も侵されやすい内臓の障害は腎臓で種々の尿異常所見をみる。初発時よりネフローゼ症候群をみることもあるが、必ずしも初発時から尿異常所見を認めるとは限らない。精神神経症状では、精神症状、痙攣、意識障害、髄膜炎、脳血管障害などの病態に留意する。その他、初発時に浸出性奬膜炎(心外膜炎、胸膜炎、腹膜炎)、ループス膀胱炎、リンパ節腫大、脾腫、無月経などをみることがある。

3. 診断に有用な検査所見
 一般検査では、溶血性貧血、白血球減少、リンパ球減少、血小板減少の有無に留意する。ポリクローナルなγグロブリンの増加がみられ、IgGの増加が顕著である。CRPは活動性であっても通常陰性か弱陽性を示す。尿の異常所見はループス腎炎の存在を示唆する。免疫学的検査では、蛍光抗体間接法(IIF)による抗核抗体はほぼ100%陽性を示す。IIFの種々の染色像(周辺型、均一型、斑紋型、核小体型、セントロメア型)を認めるが、前二者が多い。IIFで陽性を認めた場合には、次いで特異的抗核抗体の検索を行う。SLEに特異的なのは抗二本鎖DNA(dsDNA)抗体、LE細胞、抗Sm抗体などである。これらに加えて血清低補体価が有用な所見である。

4. 診断、鑑別診断
 診断は、臨床症状と検査所見を総合的に判断して行われる。ACRよりSLEの改訂診断基準が提唱されている。鑑別すべき疾患としてSLE以外の膠原病、感染症、悪性腫瘍などがあげられる。診断に苦慮する場合には早期に専門医への紹介が望ましい。

SLEの患者数および予後は果たして変わったか?
小池 隆夫(北海道大学第2内科 教授)
SLEの病気の原因はどこまでわかったか?
山本 一彦(東京大学アレルギーリウマチ内科 教授)
SLEを早くから診断するためのこつ
橋本 博史 (順天堂大学膠原病内科 教授)
ステロイド剤をうまく使うこつ
田中 良哉(産業大第一内科 教授)
免疫抑制剤をうまく使うこつ
三森 経世 (京都大学臨床免疫学 教授)
SLEにおける妊娠と出産
竹内 勤 (埼玉医科大学総合医療センター第二内科 教授)

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