リウマチ・アレルギーシンポジウム Part2
10:00〜12:30
タイトル“わが国の喘息死の推移と現状”

講演者: 松井 猛彦
卒業大学: 信州大学医学部
現職: 東京都立荏原病院・小児科部長
現在の研究テーマ: 気管支喘息の疫学、気道リモデリング、小児喘息治療

出版物: 1) 松井猛彦:総括研究報告書、気管支喘息急性期治療における薬物の科学的根拠に関する研究.平成13年度厚生科学研究費補助金 感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業、気管支喘息急性期治療における薬物の科学的根拠に関する研究平成13年度総括・分担研究報告書、厚生労働省、2002/3
2) 松井猛彦:喘息死.西間三馨、森川昭廣編、小児科シリーズ 小児の気管支喘息、現代医療社、東京, 2002(3)pp.198-208
3) 松井猛彦:難治喘息(喘息死を含む).日小ア誌 16:42-48, 2002
わが国の喘息死は、最近、ようやく減少の傾向にある.
厚生労働省人口動態統計から算出した5〜34歳の年齢階級喘息死亡率は1960年代に増加し、1970年代に入って急激に減少したが、1980年代に再び増加し、高値となっていた。しかし、1997年から明らかに減少に転じ、2000年には1979年の最低値と並び、総数0.3、男0.4、女0.2で、2001年もこれに近い値となっていると推定される.
一方、総数の喘息死亡率は、欧米に比し高いことが指摘され、1976年から人口10万あたり5.8から4.7程度を推移していた.しかし、1997年頃から減少傾向となり、2001年には、総数3.2、男3.4、女3.0となっている.総数の減少は、喘息死総数に占める割合の高かい高齢喘息の喘息死が大幅に減少した影響が大きい.
わが国の喘息死が減少してきた要因について、単一の要因に帰することはことは困難であるが、吸入ステロイド薬の普及、喘息ガイドラインの家庭医、患者・家族への普及による適正な長期管理などが挙げられているが、さらに、喘息死に関するマスコミによる報道と患者・家族などの認識の深まり、β2刺激薬MDI(metered dose inhaler)の適正使用が、喘息死の減少に大きく貢献したのではないかと推測される.
喘息死をさらに減少させ、これを維持する方策を検討する必要がある.
喘息死の防止には総合的な対策が必要であるが、これまでのわが国の喘息死に関する経過から、なかんずく、喘息死に関する認識やβ2刺激薬MDIの適正使用についての患者・家族、社会への啓発を続かことが重要で、さらに、ガイドラインの普及や高齢喘息患者へのインフルエンザ対策が有効と考えられる.これらが疎かにされると、将来、喘息死が再び増加することが危惧される.
【図1】わが国の喘息死亡率(総数)の推移(1950〜2001年)
【図2】喘息死亡率(年齢階級5〜34歳、1950〜2001年)
わが国の喘息死の推移と現状
松井 猛彦(都立荏原病院小児科医長)
喘息死に与える吸入β刺激薬、吸入ステロイド薬の影響
高橋 清(国立療養所南岡山病院内科・病院長)
喘息死を防ぐための患者教育、母親教育、公教育の重要性
森川 昭廣 (群馬大学小児科教授)
わが国の喘息発作救急対応の実態と将来構想
上田 暢男(愛媛県立中央病院呼吸器科 副院長)

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