リウマチ・アレルギーシンポジウム Part2
10:00〜13:00
タイトル“テーマ免疫抑制薬をうまく使うこつ”

講演者: 三森 経世
卒業大学: 慶応義塾大学医学部昭和53年卒業
現職: 京都大学大学院医学研究科臨床免疫学教授
京都大学医学部附属病院免疫・膠原病内科診療科長
現在の研究テーマ: 膠原病・リウマチ性疾患の診断と治療、自己抗体
出版物: 免疫抑制薬の選び方と使い方」(南江堂、平成12年)

免疫抑制薬は、自己免疫疾患や膠原病、リウマチ性疾患など、発症メカニズムに免疫異常が関与する多くの疾患の治療薬として、副腎皮質ステロイドとともに欠かすことのできない薬剤である。特に全身性エリテマトーデスでは免疫抑制薬による予後の改善がエビデンスとして明らかにされている。

免疫抑制薬の歴史は古く、最初は抗悪性腫瘍薬として開発された薬剤が強力な免疫抑制作用を有することから、種々の疾患の治療に用いられるようになった。これらは様々な疾患に試みられて適用が拡大され、使用方法の改良工夫によって効果が増大し、かつ副作用の少ない使い方が可能となった。また最近、種々の免疫疾患における発症メカニズムが明らかにされつつあることから、病態に則したより選択的な免疫抑制薬の開発が進められている。

しかし、免疫抑制薬は使い方が難しいという印象があり、様々な制約から使用が躊躇されることが少なくない。免疫抑制薬は免疫機能全般を非選択的に抑制するため、疾患を治療すると同時に個体の免疫機能を低下させて、感染症を誘発したり、また免疫学的監視機構を抑えて悪性腫瘍の発生をきたす可能性もある。多くの免疫抑制薬は治療域と毒性域が接近するものが多いため、副作用の発現率が高く、重篤な副作用も多い。 免疫抑制薬を効果的かつ安全に使用するためには、その適応・用法・用量を守るとともに、薬剤の特性、代謝、起こりやすい副作用などに習熟することがきわめて大切である。

また、一部の薬剤と一部の疾患を除き、免疫抑制薬の多くは我が国では保険適用がないのが現状である【表】。しかし、たとえ保険適応外であっても、現実に免疫抑制薬を使用せざるを得ない場合が多く、適切な使用によって患者の生命を助け、QOLを向上させることができる。かかる場合には患者に免疫抑制薬使用の利害についてよく説明し、インフォームドコンセントをとることが重要であり、そのためにも医師は免疫抑制薬について熟知していなければならない。


【表】膠原病・リウマチ性疾患で用いられる免疫抑制薬の種類と適応病態
免疫抑制薬 適応疾患および病態*
シクロホスファミド 重症ループス腎炎、CNSループス、Wegener肉芽腫症、
結節性多発動脈炎、間質性肺炎・肺線維症
アザチオプリン SLE、血管炎症候群、PM/DM
メトトレキサート RA、PM/DM、血管炎症候群、成人Still病
シクロスポリン Beh稿t病(眼症)乾癬性関節炎、SLE(ネフローゼ症候群)
ミゾリビン SLE(ループス腎炎)RA
*アンダーラインは保険適用が認められているもの

SLEの患者数および予後は果たして変わったか?
小池 隆夫(北海道大学第2内科 教授)
SLEの病気の原因はどこまでわかったか?
山本 一彦(東京大学アレルギーリウマチ内科 教授)
SLEを早くから診断するためのこつ
橋本 博史 (順天堂大学膠原病内科 教授)
ステロイド剤をうまく使うこつ
田中 良哉(産業大第一内科 教授)
免疫抑制剤をうまく使うこつ
三森 経世 (京都大学臨床免疫学 教授)
SLEにおける妊娠と出産
竹内 勤 (埼玉医科大学総合医療センター第二内科 教授)

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