平成16年度厚生労働省免疫アレルギー疾患予防・研究推進事業 リウマチ・アレルギーシンポジウム
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小池 隆夫 北海道大学大学院医学研究科 分子病態内科学・第二内科 教授
ステロイドは怖いくすりか?

抄録 略歴
1950年のノーベル賞はヘンチ、ケンドールおよびライヒシュタインの3人が受賞しました。その理由はステロイド(正確にはコルチゾール)を初めて合成し、それがリウマチ(以下RA)の症状を劇的に改善することを証明したためでした(ちなみに3番目のライヒシュタインが整形外科医で臨床に携わりました)。しかし、このコルチゾールも決してRAの特効薬ではないことが、ノーベル賞受賞後数年もたたずに明らかになりました。すなわち、ステロイドはRAの臨床症状〈腫れや痛み〉を軽減はしても、減量したり中止すると、とたんにRAが再燃することがわかったわけです。

体内の副腎で産生されるのが、コルチゾールですが、その化学構造に若干手を加えることにより、作用時間や抗炎症効果を強くすることが出来ます。それらが現在臨床で使われている、いわゆるステロイド(プレドニン、リンデロン、デカドロンなど)です。いまでは、臨床の現場〈特に膠原病の治療〉では、このステロイドなしには、診療は考えられません。RAに関しても同様です。しかしこのステロイドには、さまざまな副作用があることが良く知られております。それらを列挙すると、消化性潰瘍、易感染性、高コレステロール血症、糖尿病、骨粗鬆症〈骨折〉、高血圧、筋力低下、副腎不全、精神症状、満月様顔貌(いわゆるムーンフェース)、にきび、体重増加、生理異常、多毛症、白血球増加、白内障、緑内障などです。このように書いてくると、本当に「ステロイドは怖いくすり」ということになります。しかしこれらの副作用は、大量のステロイド(プレドニンで30mg/日以上)を使用したときに認められるもので、通常のRAの臨床で使われる少量(10mg/日以下)では、これらの全てが認められるわけではありません。逆にステロイドなしにRA患者さんのQOLを維持することは極めて困難であるといえます〈欧米の統計ではRA患者の40~70%にステロイドが使われているとのことです〉。RAの治療に際して、いかに上手にステロイドを使用するか、そして、いかに上手にその副作用対策を行い、いかに減量してゆくかが、リウマチ医の腕の見せ所といっても良いと思います。
学 歴
北海道大学医学部卒業
現 職
北海道大学大学院医学研究科 分子病態内科学・第二内科 教授
研究テーマ
抗リン脂質抗体症候群の病因・病態に関する研究

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