平成23年度厚生労働省 難治性疾患克服研究推進事業 研究成果発表会

ご挨拶

(財)日本予防医学協会 会長 濱田 洋一

(財)日本予防医学協会は、1960年創立以来50年余にわたり「健康社会の構築」という基本理念のもと、健康支援事業を展開してまいりました。厚生労働省では難治性疾患について平成11年度から厚生科学研究の中に位置づけ、平成15年度より「難治性疾患克服研究」に改編し、難治性疾患の克服について事業が推進されてきました。当会では昨年度より厚生労働省のご指名を受け難治性疾患克服研究推進事業のお手伝いをさせていただいております。

さて、本研究成果発表会は、厚生労働科学研究の一環として開催するものでございます。研究成果発表会開催の趣旨につきましては、厚生労働省健康局 疾病対策課 山本尚子 課長様のご挨拶をご高覧頂きたいと存じます。

今回は京都大学iPS細胞研究所所長 山中伸弥先生をお招きして「ヒト疾患特異的iPS細胞を用いた新薬開発に向けた取組み」と題し、特別講演を頂きます。是非この機会に再生医療技術、遺伝子治療技術の難治性疾患への応用可能性についてご確認いただければと思っています。また、今回ご講演を頂きます先生方は、わが国におきまして、難治性疾患克服の研究に関し先進的なご研究と業績をあげられておられる先生方です。

難治性疾患克服研究に携わっておられる先生方はもちろんのこと、参加されます皆様方のご協力により有意義な会となりますよう祈念いたしておりますとともに難治性疾患克服研究に関わる医療、看護、医薬、保健等関係者の方々の一助となり、また、国民の皆様のご理解を深めていただくことにお役に立てれば、主催者として大変ありがたく存じます。

皆様方におかれましてはご多忙のことと存じますが、わが国の難治性疾患の克服ため、より一層の前進を目指す本研究成果発表会に多数の方々がご参加いただきますよう心からお願い申し上げます。

コーディネーターご挨拶

難治性疾患克服研究推進事業委員長 原 茂樹 (鈴鹿医療科学大学教授、三重大学名誉教授)

葛原 茂樹

わが国の難病対策は、1972年に特定疾患調査研究事業として開始され、ほぼ40年が経ちました。ここでいう難病とは、原因や病態が未だ不明で、根本的治療法が確立されていないために、患者さんが長期にわたって重い障害や苦痛を強いられる慢性の病気の中で、特に発生率が低くて患者数が少ないが故に、社会的に取り残されがちな希少難治性疾患の総称です。このような病気を克服していくための研究と医療を国として支える事業として、厚生労働省が実施してきたのが難治性疾患克服研究推進事業で、(1)治療研究事業(いわゆる特定疾患分野)56疾患、(2)調査研究事業130疾患((1)の56疾患を含む)について研究と医療支援が実施され、大きな成果を上げてきました。

これら以外の希少難病にも国として積極的に取り組んで欲しいという、患者さんや医学関係者の要望に国が積極的に応えて、2009年には難病対策研究費が飛躍的に増加した結果、従来の2事業の強化に加えて、(3)奨励研究事業分野として、新たに214疾患が調査研究対象に取り上げられ、その実態調査や原因の解明、診断法確立などの面で、研究が大きく進みました。 今年はその3年目の中間取りまとめの時期に当たります。

そこで、様々な研究テーマの中から、今年度は、重点研究として進められている難病の画期的治療法確立研究中で、特に研究の進歩が著しい再生医療と遺伝子治療に関するものについて、研究成果の発表をしていただきます。その冒頭を飾る特別講演として、生物学研究の歴史を塗り替える画期的成果であるiPS細胞作製に世界で初めて成功した山中 伸弥教授に、iPS細胞が切り拓く新薬開発の未来についてお話していただきます。続いて本研究事業の重点分野3課題の研究成果発表を行い、締めくくりとして、難病に対する遺伝子治療の現況と課題について、欧米の現況をGSK社のPhilippe Monteyne博士から、そして、わが国の現況を東京慈恵会医科大学・衛藤 義勝 教授から報告していただきます。

2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、本事業の研究実施施設である東北・関東地方の多くの大学と医療研究機関は甚大な被害を受け、一時的に活動停止に追い込まれたところもありました。また、多くの患者さんが地震や津波に被災されました。しかし関係者の尽力で、研究と医療は着実に復旧してきています。国、地方自治体、医療機関、患者団体、医療ネットワークなどの連携で、多くの困難と障害を乗り越えて、被災された患者さんに対しては、被災地内での医療の継続や、医療設備の提供できる遠隔地への患者搬送が実施されました。このような経験と実践の中から、患者さんの医療情報を個人と医療機関で共有して、非常時に備える取り組みも始まっています。

未曽有の大震災という困難な状況の中で、被害を克服しながら成し遂げられた数々の研究成果が、難病の原因解明と治療法確立に大きく貢献するものとなることを期待しております。

厚生労働省健康局ご挨拶

厚生労働省健康局 疾病対策課長 山本 尚子

平素より難病対策の推進に御理解・御尽力を賜り、御礼申し上げます。

また、本研究事業の研究成果を皆様にご紹介させていただく機会を設けることができ、協力頂いた患者の皆様や多くの研究者の方々に感謝を申し上げます。 わが国の難病対策につきましては、昭和47年の「難病対策要綱」に基づき、調査研究の推進、医療費の助成、患者・家族の生活の質の向上(QOL)などに取り組んでまいりましたが、未だに診療法や治療法が確立されていない多くの疾患があります。

難病の研究につきましては、平成21年度に難治性疾患克服研究事業の予算が前年度比4倍の100億円に拡大され、これまで行っていた130疾患(臨床調査研究分野)のほか、新たに研究奨励分野を設けて診断基準の確立、治療指針の標準化、原因の究明等を目的に平成21年度に177疾患、平成22年度に214疾患、本年度は現時点で230疾患以上の研究が行われております。

今日の研究成果発表会は、厚生労働省の科学研究費(厚生労働科学研究費補助金)の重点研究分野として、平成21年度から先端医療開発特区制度(スーパー特区制度)を活用して産官学の連携を図りつつ臨床研究・臨床への橋渡し研究として、3年間にわたり画期的診断・治療法の実用化の加速のための研究を続けてきた成果発表となります。

この研究課題については、本年度を区切りとして取りまとめられますが、今回はこの中にあります、京都大学iPS細胞研究所長山中伸弥教授により開発されたiPS細胞技術に関連した課題、再生医療に関連した課題についてそれぞれご報告頂くことに致しました。

現在、国では難病対策の総合的・抜本的な見直しを進めており、その中で研究の推進、国際協力の強化は大きな柱の1つに位置付けられております。

難病の治療・研究の進歩は患者・ご家族の希望であるだけでなく、わが国の国際貢献につながるものと期待致します。 今後とも皆様方の一層の御理解と御尽力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。